文部科学省「大学の力を結集した、地域の脱炭素化のための基盤研究開発」
令和3年度採択事業(令和3~7年度)
地域の脱炭素社会の将来目標とソリューション計画システムの開発と
自治体との連携を通じた環境イノベーションの
社会実装ネットワークの構築

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事業の紹介

本事業では、各地域の脱炭素化(de-carbonization)と都市転換(re-urbanization)を統合的に推進する観点から、エネルギー、モビリティ、建設ストックの政策分野を中心に、これらを横断的に捉え、地域の計画づくりのために各地域の特性を踏まえつつ汎用的に活用できるシステムを構築し、環境・経済・社会の一体的な向上に向けた取組を推進するための基盤づくりと体制の構築を行っています。

4つのサブワーキンググループ(サブWG)からなる地域脱炭素研究ワーキンググループ(WG)と、それを統合する全体統合研究WGとで構成されています。

あわせて、本事業における研究成果も含め、地域の脱炭素化等に資する知見を大学等間で共有するためのコアリションを形成し、運営しています。

(1) 全体統合研究WG

―各政策分野のモデルを統合し、住民参加プロセスも経てシステムを構築します。―

地域のシナリオや計画策定に向けて、気候変動影響や社会経済特性、国の計画などを入力変数として、地域自律エネルギー、次世代交通システム、建設ストックマネジメント等に関する将来目標を設定し、社会経済効果や環境効果を統合的に算定するモデルに基づく「脱炭素地域計画支援システム」を構築することを目指します。

※ 地域脱炭素研究WGの各サブWGで構築した政策分野ごとのシステムを統合し、住民や企業等を含む地域対話によってこれを社会実装するプロセスに関する実証研究も行った上で、各地域が汎用的に活用できる政策横断的なシステムの開発を目指します。

 

また、多様な住民が参加して対話を行う市民討議会を核とした住民参加のプロセスに、脱炭素地域計画支援システムより得られる当該地域の脱炭素シナリオを提供し、住民の意識変容や行動変容を促します。さらに、異なる意見をもつ住民の対話を通じて合意形成の方向性を示し、地域における計画策定に資する仕組みをデザインします。

(2) 地域脱炭素研究WG

―地域の実証研究による各政策分野のモデル・システム構築を行います。―

(2-1) 地域自律エネルギーシステム サブWG

多様な施設のエネルギー需給特性解析等に基づき、各地域が活用できる地域特性に応じた最適な地域エネルギーマネジメントシステム(CEMS)を構築しています。(連携自治体:北九州市等)

(2-2) 次世代交通システム サブWG

公民連携による地域交通マネジメントのパイロットモデルを構築し、各地域の計画に組み込むための次世代交通の導入効果評価システム等を構築しています。

評価システムはインプットとなる都市環境変化、交通行動変容とアウトプットとなる環境負荷のシミュレーションから成ります。

都市環境変化の推計では、定時性を考慮した所要時間短縮効果を算出することで、LRT整備効果を精緻化します。

モビリティ・マネジメント(MM)による交通行動変容の把握では、MM情報発信前後の利用意向を比較することで、その効果を把握します。これらの結果をシミュレーションに入力し、LRT導入による交通行動や居住地の変化をシミュレートします。そこから求められた二酸化炭素排出量削減効果を、炭素税やテレワーカーなど多様な都市・交通施策と比較します。

(連携自治体:宇都宮市等)

(2-3) 脱炭素建設ストックシステム サブWG

気候変動への適応・緩和策と長寿命型都市を目指す脱炭素建設ストックマネジメントシステムを構築しています。(連携自治体:愛知県、岐阜県等)

(2-4) 持続地域連携 サブWG

脱炭素化に関連する複合要因を用いて地域群を整理することによる地域特性の可視化や、エネルギー、交通、建築以外の政策分野も含めた各政策要素ごとの連関(シナジーやトレードオフ)の解明等を行っています。京都と島根を事例として、木質バイオマスや新電力エネルギーなどの再生可能エネルギーの経済・社会・環境評価、エネルギー消費の都市域と生産の中山間地域の地域連携法、及びカーボンニュートラルの合意形成の仕組み作りに取り組んでいます。

(3) 「カーボンニュートラル達成に貢献する大学等コアリション」の運営

本事業における研究成果発信のほか、アカデミアの知を結集し、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みを推進するための機関として、大学等コアリションを運営しています。設置者の垣根を超え、多数の大学が参画しているほか、現在は自治体や企業にも参加資格を拡大しています。

 

「カーボンニュートラル達成に貢献する大学等コアリション」のウェブサイト